肴

心に愛を、くちびるに歌を、花冷えの夜にはてっちりを

いよいよ春たけなわの頃。毎年、何とはなしに心躍る季節だが、今年はどうもひと味違う。「春が来ましたねぇ」の時候の挨拶も、明らかに社交辞令にはない趣があるように感じられる。どの顔も「待ちわびたよねぇ」と言いたそうだ。好事魔多しとは言うが、今年の春ばかりは多少浮かれても罰は当たるまい。さて、いつもの魚屋さんにりっぱなマフグが並んでいた。そう言えば誰かさんのブログで華やかなマフグのてっさと大盛りの唐揚げを見たぞ。張り合う訳じゃないが、張り合ったってあんな見事なてっさにかなうわけもないが、衝動買い、浮かれポンチのduoさんだ。

昨日までは花見の話題一色だったのに、今日はとんだ雨催い。いや、むしろ鍋にはおあつらえ向きか。

3月27日はサクラの日

日本全国春なので、ホタルイカのナムル風

春の食材ということで、またまた登場。春になると「せめて１年に１度は食べておかなきゃ」と思うホタルイカだが、基本的に買うのは生限定で、茹でたホタルイカを買うことは皆無だった。だけど、知ってしまったんだ。茹でたのを買って料理するの楽ちんっ。もちろん料理は選ぶけど、もう後戻りできんね。というわけで、今回はナムル風。たっぷりの白すりごまと豆板醤の和え衣が、ホタルイカの風味によく合う佳肴だ。

そうそう、未だにホタルイカの踊り食いする人がいるらしいけど、これはアウトだ。旋尾線虫ってえげつない寄生虫をなめちゃ駄目。

血圧降下への飽くなき挑戦と危険なサヨリの一夜干し

ところで、拙ブログでも度々登場いただいている発酵学の大家に、小泉武夫先生がいらっしゃる。実はもう一人、発酵食品学・醸造学の大家に小泉幸道という先生がいらっしゃる。そう、小泉さんは発酵が好き。いや、そんなことはどうでもいい。この小泉幸道先生、酢の世界でひとかどの研究者なのだそうだ。さて、小泉幸道先生がのたまわれた。「酢を大匙一杯毎日飲むと血圧が下がるよ」。私、藁にも縋る思いでこれをやってみた。したらば、何と、ちょうどひと月後、最高血圧が17mmHg、最低血圧が5mmHgそれぞれ下がったのでした。日々血圧を気にしている方々、お試しあれ。

サヨリは焼いてもべらぼうに旨い。飲み過ぎ必至。あ、それは駄目。

針魚檸檬締めの罠 序の章、でも最終回

サヨリは漢字で書くと細魚、針魚、針嘴魚、水針魚、竹魚など、いずれも体型を表したものだ。だが細長いからと言って、ウナギやアナゴのように捌き辛い魚ではない。鱗、骨、内臓、どれも気にするような煩わしさはなく、驚くほどの高値をつけることもない。そしてその最たる魅力は、ただただ美味しいこと。その夜、檸檬締めを味わったつれ合い「は～ｧｧｯ、旨～～ｯ」と幸せそうなつぶやきを、ため息まじりに漏らした。

腹黒い私が、旨い肴で油断させているとも知らずに(完)

注目!! サヨリ ジキル博士と従順な僕(しもべ)duoめ

サヨリ、よぉく見ると下あごに紅を差したような赤が愛らしく、またスレンダ－な魚体は艶やかな銀白色が美しい。対して腹を開くと腹膜が真っ黒で、このビジュアルとの対比が有名な魚でもある。「あの人は美しいが、腹黒くてサヨリのようだ」のように使われる。ある日つれ合い「悪いが明日の朝食用のパンを買ってきてくれ」と言う。このような指令が下ると、私に否やの選択肢はない。従順なのだ。でも腹の中は別だ。テメェの財布のヒモはきつ～く縛ってやがるくせによぉ!!

私は美しいが、腹黒くてサヨリのような男だ。美しくない。